niwaradiの雑記

漫画アニメ関連の感想。

"結城友奈は勇者である"と太平洋戦争

また結城友奈の話。

東郷さんの愛国設定とかよくも悪くも戦前の日本を思い起こさせるアクセントが多いので、それに触れずには語れないと思う。国を守るために戦うことを美化してるかと思えば勇者=兵士の代償がエグかったり、大赦=政府+靖国神社が悪いかと思えばそんなに悪意もない描写をされたりと複雑なところがあるので、国防と自己犠牲の重要性を説いてるとか戦争を美化していて悪いとかいう巷の左右両派にありがちな短絡的な文脈では語れない。

味方=土地神様なので一見神道賛美なのかと思いきや、話が進んでみると敵=天照大神(天皇家の祖先とされる神様)なので戦前だったら即発禁な内容なんだけど神道に詳しくないのか排外主義なだけで皇室賛美からは遠いのかアニメクラスターにもそこそこいるであろうネット右翼っぽい人たちも特に騒いではいない。

 

以前勇者は特攻隊をモチーフにしてると思ってたんだけれど、つい最近女性が犠牲になっていてもっと悲惨な話を読んだ。貼っておいて難だけどこういう話が苦手な人は読まないほうがいいかもしれない。(私は平和な時代に生きる人は決して戦争を煽らないということさえ守れば何も知らずに呑気に生きてもいいと思う。)

 

gendai.ismedia.jp

 

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亡くなった娘たちはどういう存在なのだろうか。現遺族会会長に訊ねると、少しの間をおいて彼は答えた。黒川開拓団の「守り神」であると……。」

 

犠牲になった側からすればひどい発言なのですが、こうなってしまう現実。

未だに戦争になったら戦死した自衛隊員を靖国に祀るかを一番に議論したがる人がいるという、最後は犠牲者(英霊)の祭り上げ、戦後も変わってない日本の残念なところ。

 

こういうのをモチーフにした話を絵的には完全にマイルドにして現代風にしてファンタジーなテイストに包んでなおかつグサッと刺してくるのが「結城友奈シリーズ」の凄いところ。登場する女の子たちがいい子すぎる(+それゆえただただ可哀想って反応が起きがち)っていう問題はあるんだけどああなれって言ってる話でもないんだろうな。

 

こういう時誰が悪いかって話をしたがる人たちがいて、若い女性を差し出した開拓団が悪いとか、住民を守らずに逃げた満州の旧日本軍が悪いっていえばそうなんだけど、それをしないと彼らも死ぬわけで。

ソ連兵が悪いっていうのは当然そうなんだけど千万人単位で犠牲になった独ソ戦あるいは焦土作戦について知っていると少し見方も変わるかもしれません。

善悪ではなく戦争では最後は弱い人達が犠牲になる。

 

結城友奈はまだ結末が全然見えないわけだけれど、第二次世界大戦との連想でいくと

四国以外の国土を取り戻して勝利エンド=大日本帝国勝利

バーテックスと和解エンド=日ソ講和

になるといくらなんでもご都合主義すぎる。

かといって

滅亡エンド=日本滅亡

だと全員殺してストーリー処理した観が拭えない。

ジリ貧で戦いを続けて滅びゆくか、あるいはそこにに多少の理不尽さが存在しても敵からの要求を飲む(=ポツダム宣言受諾)という方向に進むとそれっぽいけど果たしてどうなるか。