niwaradiの雑記

漫画アニメ関連の感想。

ハッピーエンドだろうが朝放送しようがけものフレンズの闇は変わらない

(デレマスについて書くブログのはずだったのですが書きたいことあれば好きなこと書きます。元々書きたいことだけ書きたい性格だしダイアリーにしたほうがよかったかな。ちゃんとアイマスの闇についても書きたいのですがまとまらないので。ちなみにけもフレは1話からニコニコ動画とニコニコ生放送で視聴しております。本当に流行ってよかった。)

 

 けものフレンズ再放送おめでとうございます。現在ドイツ勤務中なので再放送あろうがなかろうがCrunchyrollで見るからいいのですが、新たに見る人やもう一度見る人にけものフレンズの優しさと共生のメッセージが届くといいなと。

 

 けものフレンズは初期の頃は結構「闇が深い」と結構言われていたと思います。

honeshabri.hatenablog.com

↑出典その1、けもフレについての最も秀逸なレビューの一つですね。

 

 ヒトがいなくなって廃墟になった世界観が怖いみたいな話は結構言われていてバッドエンドあるいはジャパリパークがディストピアな可能性を指摘していた人も多かったと思うのですが、この記事あるいは多くの視聴者が感じた「闇」はそこじゃないんじゃないかなと。記事ではけものフレンズが動物としての人類を見つめ直すアニメと指摘していますがそこが鍵なのだと思います。少し内省すれば人間の闇も見えてくる。

 

 

けものフレンズの闇その1~動物園~

 そもそも動物園自体が人間の闇みたいなもので、元々権力者が動物を檻に閉じ込め見せびらかすための施設であったと認識しています。それは庶民の娯楽でもあり、人間による動物の支配の象徴でもありました。むやみに動物を捕まえるのがよくないと人々が思うようになると動物研究・教育・啓蒙といった役割が存在理由となり、動物愛護の時代になると希少な種の保護・繁殖が強調されるようになりました。露骨な檻は減り、表面的にはガラスや堀の区切り、中はより自然に近い環境で飼育されることも多くなってきました。それでも過激な動物愛護団体は動物園の存在そのものに反対しています。そこまで過激にいかなくとも、作中で一度取材があったフクロウカフェの是非等は議論がありますね。肉食獣をストレスの多い環境で飼うのは慎重になるべきとも思うのですが、ハリーポッターとか見るとヨーロッパでもフクロウは飼ってよい動物と認識されてるような気がしてよくわからないです。観光用の鷹匠とかもいますし。

 テレビの動物番組でより野生に近い姿が見られることもあって動物園の人気は落ちていく傾向にあったようですが、けものフレンズは動物の仕草の見方や動物を見ることによる癒やしを思い出させてくれました。IQが下がると同時に賢くなった気がします。

 

 

けものフレンズの闇その2~オスのいない世界~

 男性のオタク受けを狙っているというメタ的な事情もあるけど、それにとどまらないのがけものフレンズ。美少女動物園という言葉は時に非常に的確ながら批判的な響きもあるけれどそうなったのには理由がある。

 メスを巡る争いは結構深刻です。動物の場合は種内の縄張り争いも結構えげつないのが多いです。人間は殺人をするが動物は同種を殺さないと言われた時期もありますが、実際そうでもありません。子孫を残せず野垂れ死ぬのでは殺されないからといっていいわけでもないし。理想郷としてのジャパリパークを描く上でそれを解決する方法が各種メス一匹のみという方法です。各種オスメス一匹ずつでもよかったって?別種族間の恋愛との兼ね合いの問題とか考えたくないし次の世代が問題でしょ。

 フレンズ化後、人間の場合を考えても男女が混じっていることが醜い争いを生むことはわかりきっていること。嫉妬・性欲・嫉妬・独占欲......もう絶対ろくなことにならない。子どものような純粋な気持ちを持った存在としてフレンズ描けばいい?「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」とか見てから言ってください。ちゃんと納得できるカップリングを組んでおけばいいって意見もありそうです。そういうの嫌いじゃないですけど、でも性格のいい美男美女のカップル見るのって私のような性格悪い独り者には精神的負担になる時もあるんですよ。ジャパリパークが理想郷でも視聴者の心に闇背負わせちゃ駄目でしょう。

 同性愛はいいんですよ。三角関係ができたとしても三人で仲良くすればいいって現実はならないだろうけど我々の妄想の中ではそれで解決もできるので。男女混合三人でみんな仲良くは性的なこととか考えても考えなくてもいろいろと難しいでしょうね。

 さて男だけにするか女だけにするか。

 腐女子は逆のこと考えるんでしょうけど、男っていうのは本当に穢らわしくて駄目な生き物なんです。男性なら自分の性欲と内に秘めた凶暴性を理解することがあるはず。その点女の子は清くて優しいというのが交友関係のある女性が少ない男性の幻想です。

 だから女の子だけにするのは萌えというよりは平和を求めた必然の結果です(ほかの女の子だけ出てくるアニメも多分にそういう要素はある)。こういうのを男性視点と批判するのは容易です。でもそういう人には、ドロドロした世界かリアリティない世界にせずに描くにはどうしたらいいの、恋愛が美しいっていうのは強者の理論じゃないのって問いたいです。

 かばんちゃんの性別に関する議論をしていた人がいたと思いますが以上のコンセプトからすれば女の子であることは自明です。ボーイッシュに描かれているのは視聴者の男性が主人公に感情移入しやすいようにというメタ的な事情です。サーバルちゃんには一つの理想のヒロイン像という要素もありますね。

 

 

けものフレンズの闇その3~肉食の廃止~

 肉食動物は本来草食動物を食べます。これをフレンズ化したあとにやったらシュールでグロいことになるので、フレンズはジャパリまんなるものを食べているという設定になっています。ジャパリまんが野菜からできていること、体が人間化したことによって肉食獣でも栄養はなんとかなることが作中で語られています。フレンズ化の強みの一つですね。この部分はベジタリアン的な食事の勧めとも解釈でき動物園嫌いな動物愛護運動家も満足だと思うのですが、日本では広まらないかなということもあり多分軽く触れています。欧州人は意識が高いのか宗教的なのか菜食主義者は結構多いですが。ジャパリまんじゃないですが植物由来の肉っぽいものもいろいろあって栄養バランスもとれるみたいです。

 入手がラッキービーストたちを介した配給制によるのもポイント。食料が争いの種になることを回避しています。ジャパリまんの数には余剰があり通貨の代わりに。お金も争いの元ですし。理想郷らしく高度な文明に支えられています。

 

 

けものフレンズの闇その4~ヒトという種の罪~

 ジャパリパークにとっては異物であるヒト。今では「パークの危機なのだ!」はギャグでしかないですが、最初聞いたときにはヒトの存在がこの世界に害なのではと悲しくなりました。文明が争いを生む危険に思い至った人もいるかと思いますが、それ以前にヒトは多くの動物を滅ぼしてきた種です。トキの歌を聞いた時はその衝撃と共に歌詞に申し訳ない気持ちを覚えましたが、かばんちゃんがオーロックスに槍を突きつけられたときはドッキリしました。結局はパークの危機もオーロックスの攻撃も結局は勘違いで済み、ヒトであるかばんちゃんも受け入れられていく。ヒトという種の罪深さを意識するほどけものフレンズの優しさが心に染みます。

 

 

けものフレンズの闇その5~高度な文明とAI~

 ジャパリパークの異物その2、ロボット。個人的には第一話中間のしんざきおにいさん登場とラストのロボットの登場で第二話以降の視聴継続を決めました。サーバルちゃんがボスが喋ったことに驚くのがポイント。ロボットは人間に従うのが原則とはいえラッキービーストがヒトとフレンズをはっきり差別してしまうことはちょっとした怖さがありました。想定外の事態に弱く、「まかせて」と言ってはすぐにエラー。文明の危うさを象徴する存在でもありました。最後にはラッキーさんがフレンズに話しかけられなかった理由も明かされ、優しい心を持っていたこともわかるのですが。

 

 

こうして見ていくとけものフレンズが人間に自分たちの闇を気付かせつつ、そういうポイントをなんだかうまく優しさと共生つなげてくれていっているアニメだなと。性別とか格差とかはどうしようもないんですがそれはおいておいて。さらに強いメッセージを感じたければこんなの↓を見るといいかもしれません。男体化注意!!

【けものフレンズ】「センチメンタル系ポストアポカリプスおじさんのためのけものフレンズ」漫画/ヒデロ [pixiv]

 

 

でもまぁやっぱりそんなこと考えずに見たほうがよいのかもしれません。

 

nyalra.hatenablog.com

新たにけもフレを見た人がたのしー!と思えるといいなってことに尽きるかもしれない。